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製造業における評価試験とは?目的や試験項目の種類など紹介

2024.09.30

製品の品質や信頼性は、製造業における企業の評価を大きく左右します。

製品が使用されるさまざまな環境による故障や、時間の経過による材料の劣化を事前に把握していないと、思わぬトラブルに繋がることがあります。

そこで重要になるのが「評価試験」です。

本記事では、製造業において評価試験の必要性や、具体的な試験内容について解説します。

振動試験や衝撃試験、温度試験など、製品の性能を評価する試験方法についてご検討中の方はぜひ記事を参考にしてください。

製造業における評価試験とは?目的についても紹介

評価試験とは

製造業における評価試験とは、製品の性能、信頼性、安全性を確認するための試験です。

製品がさまざまな環境や条件に置かれた際に、どのように劣化し、どの程度その性能を維持できるかを評価します。

評価試験の目的は、製品が設計通りに機能するか、長期間にわたって使用できるかを確認することです。

さらに、温度や湿度、振動、衝撃などの環境ストレスに対する耐久性があるかを評価し、市場の需要を満たす品質があるかどうかを事前に確認します。これにより、製品の信頼性や安全性が確立され、企業全体の信頼性も向上します。

試験結果は製品の改良や最適化に活用され、国際的な規格や法規制に準拠することを証明するためにも用いられます。

例えば、ISO、JIS、IECなどの国際的な規格に準拠した試験を行うことで、製品のグローバル展開を円滑に進めることが可能です。

評価試験は今や、製品の安全性・信頼性を確保するためのグローバルな製品展開には不可欠な要素となっています。

製造業における評価試験の例 

評価試験の例

製造業において行われる代表的な評価試験について解説します。

振動試験

振動試験とは、製品が輸送中や実際の使用環境において、振動にどの程度耐えられるかを評価する試験です。

この試験は、主に自動車部品や航空・宇宙分野、電子機器製品、生活用品などを対象に行われます。振動による破損や性能の低下を評価し、製品開発に反映させることで故障を未然に防ぐことが目的です。

試験内容としては、正弦波振動やランダム波振動を振動試験機により製品に加え、振動への応答性や耐久性を確認します。

振動試験は、以下の代表的なJIS規格に基づいて行われ、対象製品に応じた試験方法が規定されています。

規格 内容
JIS C 60068-2-6 電気・電子機器などの正弦波振動試験方法
JIS D 1601 自動車部品の振動試験方法
JIS E 4031 鉄道車両用品の振動および衝撃試験方法
JIS F 8006 船用電気器具の振動検査通則
JIS Z 0232 包装貨物の振動試験方法

衝撃試験

衝撃試験とは、さまざまな材料がどのような衝撃に対してどの程度の耐久性を持つかを評価する試験です。

この試験は、材料の耐衝撃性を評価し、製品開発や材料選定に活用されます。材料に加える衝撃は、打撃、突き刺し、引張などの種類があり、試験後には破壊された断面の状態や変形の仕方、破壊プロセスを評価します。

代表的な試験方法には、振り子式のハンマーを用いるシャルピー・アイゾット衝撃試験や、金属の錘を落下させる落球衝撃試験、引張方向への衝撃や応力を加えて評価する引張衝撃試験(テンサイル試験)など、想定される使用環境に応じてさまざまな試験方法が用いられます。

以下、代表的なJIS規格です。

規格 内容
JIS Z 2242 金属材料のシャルピー衝撃試験方法
JIS K 7061 ガラス繊維強化プラスチックのシャルピー衝撃試験方法
JIS K 7110 プラスチック-アイゾット衝撃強さの試験方法
JIS K 7077 炭素繊維強化プラスチックのシャルピー衝撃試験方法
JIS K 7124-1 プラスチックフィルム及びシート-自由落下のダート法による衝撃試験方法

温度試験

温度試験とは、製品が高温や低温の環境下でどの程度の性能を維持できるかを評価する試験です。

温度や湿度の変動に対する耐久性は、特に電子機器や自動車部品、建設資材における寿命評価に大きく影響するため、製品の品質や安全性向上のために温度試験が行われます。

温度の加え方が異なる試験がそれぞれJISにより規格化されていて、材料に応じて試験を選定し評価を行います。

以下、代表的なJIS規格です。

規格 内容
JIS C 60068-2-14 部品・機器・製品への温度変化試験方法
JIS C 60068-2-30 部品・機器・製品への温湿度サイクル試験方法
JIS C 60068-2-1 部品・機器・製品への低温試験方法
JIS C 60068-2-2 部品・機器・製品への高温試験方法

熱衝撃試験 

熱衝撃試験とは、急激な温度変化が製品に及ぼす影響を評価する試験です。

この試験は熱による影響を評価する温度試験の中の一つであり、製品に高温から低温、または低温から高温への急激な温度変化を与え、急激な膨張や収縮によるストレスで破損や亀裂、歪みが生じないかを確認します。

熱衝撃試験は、特に過酷な温度環境で使用される製品に対して行われます。

内燃機関をはじめとする自動車部品や航空宇宙用途に使用される部品、太陽光パネルやその部品など、過酷な温度環境で使用される製品に対して行われる試験です。

以下、代表的な規格例を紹介します。

規格 内容
JIS C 60068-2-14 部品・機器・製品への熱衝撃試験方法

塵埃試験

塵埃試験とは、製品が砂塵や粉塵が多い環境にさらされたときに、正常に機能し続けるかを評価する試験です。

特に屋外や工場など粉塵が多い環境で使用される製品に対して行われ、故障原因となる砂塵に対する耐久性を確認するために実施されます。

試験方法は2つあり、空気中に浮遊する微細な塵や埃に対する耐塵性を評価する浮遊試験と、塵埃を含んだ気流に対する耐塵性を評価する気流試験があります。

以下、代表的なJIS規格例です。

規格 内容
JIS D 5020 自動車用電気機械器具の異物や塵埃に対する保護等級と試験方法
JIS C 60068-2-68 電気・電子製品の防塵性能・耐塵性能についての試験方法
JIS D 0207 自動車部品の防塵性能・耐塵性能についての試験方法

塩水噴霧試験

塩水噴霧試験とは、製品が塩水による腐食にどれぐらい耐性があるかを評価する試験です。

特に海岸付近や屋外での使用が想定される製品に対して行われ、塩水を噴霧して腐食の進行具合を確認します。

乾燥と噴霧を周期的に繰り返す複合サイクル試験や、塩水に酢酸と塩化銅を加えて腐食性を高めたキャス試験など、塩水の種類や試験材料により試験方法がJISで規定されています。

以下、代表的なJIS規格例です。

規格 内容
JIS H 8502 めっきの耐食性試験方法
JIS H 8681-2 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法
JIS Z 2371 塩水噴霧試験方法

耐久性試験

耐久性試験とは、製品が長期間繰り返し使用された場合に、どの程度まで性能を維持できるかを評価する試験です。

繰り返しの使用による摩耗や疲労によって、製品の性能がどの程度維持されるかを評価し、人命に関わる重要な部品はもちろん、自動車や家電製品、航空機部品、電子機器などさまざまな分野の製品寿命や故障リスクを確認するために行われます。

大きく分けて3つの種類があり、温度・湿度に関する耐久性試験機械的ストレスに関する耐久性試験環境に対する耐久性試験が行われます。

以下、代表的なJIS規格例です。

規格 内容
JIS A 1456 木材・プラスチック再生複合材の耐久性試験
JIS S 1206 オフィス用回転椅子の安定性や強度の耐久性の試験
JIS C 60068-2-2 発熱がない・あるそれぞれの供試品に適用する高温試験

耐候性試験

耐候性試験とは、製品が紫外線や雨、湿度などの自然環境にどれだけ耐えられるかを評価する試験です。

耐久性試験の一環として行われ、特に屋外で使用される製品にとって非常に重要です。特にプラスチックや塗装された製品の劣化具合を評価する際に用いられ、紫外線や湿気による変色、ひび割れ、剥がれなどの影響を確認します。

試験では、加速試験によって過酷な環境を短時間で再現するため、長時間の屋外使用をシミュレートし、製品の劣化を迅速に評価することが可能です。

代表的な規格としては、以下が挙げられます。

規格 内容
JIS K 7350-1 プラスチックの実験室光源による暴露試験方法

IP試験

IP試験とは、製品の防塵・防水性能を評価する試験です。

IP試験はJIS C 0920「外郭による保護等級 (IPコード)」という規格に基づいて行われ、試験の結果は「IP+二桁の数字」(例:IP68など)で表記。IPコードは国際規格IEC 60529に準拠しており、電気機器や電子機器が外部の異物や水からどれだけ保護されているかを示します。

数字の一桁目が防塵性能、二桁目が防水性能を示し、コードにより製品の防塵・防水性能が概ね把握できるのが特徴です。

代表的な規格として以下が挙げられます。

規格 内容
JIS C 0920 電気機械器具の保護等級と試験方法
JIS F 8007 船用電気機器の保護等級と試験方法

emc試験

EMC試験とは、EMS試験とEMI試験の2つからなる、製品と電磁波の影響を評価する試験です。

EMS試験では、製品が外部からの電磁波の影響を受けても正常に動作するかを評価します。静電気や電源変動、ラジオ波、電源周波数磁界、サージなどによる影響をチェックすることが重要です。

代表的な規格例として以下が挙げられます。

規格 内容
JIS C 61000-4-2 人体による静電気の影響を評価する放電試験方法
JIS C 61000-4-3 テレビやラジオ電波の影響を評価する電磁波試験方法
JIS C 61000-4-8 電源による磁界変化の影響を評価する磁界試験方法

EMI試験とは、製品が外部に発する電磁波により他の機器に影響を与えないかを評価する試験です。

規格 内容
CISPR 16-2-1 電源線や通信線を伝導し外部へ発する伝導妨害波の測定方法
CISPR 16-2-3 機器から空気中に発する放射妨害波の測定方法

現代では、電子機器が生活環境に溢れているため、電磁的な影響を相互に与えないかをチェックすることは必須であり、多くの国や地域でEMC試験に関する規制があります。

規制に適合していない製品は、該当地域で販売することができないため、EMC試験は電子機器の市場競争力においては重要な評価試験です。

日本では「電気用品安全法」、アメリカでは「FCC」、EUでは「CEマーク」などが代表的な規制です。

まとめ

本記事では、製造業における製品の品質、耐久性、安全性を確保するために行われるさまざまな評価試験について解説しました。

材料や使用環境によって種類の異なるさまざまな評価試験を行うことが、市場の要求に応え、長期間にわたり高いパフォーマンスを発揮する製品の開発につながります。

数多くの評価項目や規格、試験結果の信頼性によって、さまざまな製品で溢れる私たちの生活の安全が保たれているのです。

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