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信頼性試験とは?目的や信頼性評価、種類と各概要などを解説

2024.09.27

現代は多くの電子機器や精密機械に囲まれ、私たちの生活の豊かさを構築しています。そんな精密で繊細な部品や装置の品質を支えているのが、信頼性試験です。

しかし、信頼性試験という言葉を耳にしても、その実態は一般的ではありません。信頼性試験とは、具体的に何をしているのか?と聞かれても、実務で長年携わっていない限りそう答えられる人は多くありません。

本記事では、そもそも信頼性試験とは何か、そして信頼性評価とは?といった疑問から、数ある信頼性試験の種類から振動試験湿度サイクル試験など代表的な試験を解説しています。

本記事を最後まで読めば、信頼性試験の全容が理解できる内容になっていますので、ぜひご覧ください。

信頼性試験とは?目的や評価など紹介

信頼性試験の目的

信頼性試験とは、製品がさまざまな環境や条件下で正常に動作し続けるかを評価するための試験です。

製品が長期間にわたって使用されることを前提に、温度、湿度、振動、衝撃など、製品が遭遇するさまざまな状況を模擬して行われます。特に、半導体、電子機器、自動車部品などの製品においては、信頼性試験が欠かせません。

信頼性試験の目的は、製品の耐久性を確認し、製品寿命の見積もりや、市場投入後に発生する可能性のあるリスクを軽減することです。これにより、製品が安全かつ高品質であることを確認し、リコールや修理コストの削減にも寄与します。

また、信頼性試験に関するJISやISO規格は、通常5年ごとに見直されますが、技術進化や市場ニーズにより早期改正されることもあります。

そのため、企業は常に最新の規格を認識し、規格の更新や見直しを定期的に管理することが、品質保証と競争力の維持において重要と言えるでしょう。

信頼性評価とは?

信頼性評価とは

信頼性評価とは、製品やシステムが設計通りに機能し、当面安定した性能を維持できるかどうかを確認するプロセスです。 特に、半導体や電子機器、自動車部品など長期的な性能維持が求められる分野では、開発初期から信頼性評価が行われることが一般的です。

信頼性評価の主な目的は、製品のリスクを軽減させ、製品寿命を正確に予測することにあります。市場投入前にこの評価を行うことで、設計や製造プロセスの改善点を特定し、リコールリスクの軽減と顧客満足度の向上に貢献。また、信頼性評価は市場投入後のコスト削減やブランドイメージの維持にも重要な役割を果たします。

信頼性試験と信頼性評価は密接に関連しており、試験で得られたデータを基に、製品がどの程度の環境負荷に耐えられるか、どの条件下で劣化が進むかを評価します。これにより、製品が過酷な使用環境下でも期待される寿命を維持できるかどうかを評価し、製品の耐久性や品質保証が行われます。

信頼性試験の種類を一部紹介

信頼性試験の種類

信頼性試験には、製品がさまざまな環境で長期的に性能を維持できるかを評価するための多様な試験があります。

ここでは信頼性試験の代表的な試験を6つ解説します。

振動試験

振動試験とは、製品が振動によるストレスにどの程度耐えられるかを評価する試験です。

特に自動車部品や航空宇宙機器、電子機器など、振動にさらされる環境で使用される製品に対しては、この試験が非常に重要です。製品の使用環境や輸送中の振動が、内部部品や構造にどのような影響を与えるかを評価し、製品の信頼性を確保するために行われます。

振動試験では、正弦波振動やランダム波振動などを用いて製品に振動を加え、どの程度の振動が故障や性能劣化を引き起こすかを確認します。

試験には、振動周波数、加速度、振幅などの要素が含まれ、これらのパラメータを調整して製品の耐久性を評価。また、JIS規格に準拠した振動試験に加え、業界独自の基準が設けられる場合もあります。

振動試験の結果は、製品の設計改善や製造工程の最適化に役立ち、製品が実際の使用環境下で確実に動作することを保証するための重要なステップです。

代表的な規格例

JIS C 60068-2-6 環境試験・機械的影響試験・正弦波振動
ISO 16750-3 道路車両・電気および電子機器・振動および衝撃試験
MIL-STD-810G 米軍規格・環境工学のための試験方法(振動試験)

温度サイクル試験

温度サイクル試験とは、製品が急激な温度変化にどの程度耐えられるかを確認する試験です。

日常的に温度差の激しい環境で使用される製品、特に半導体や電子機器は、温度の変化によって内部の部品が膨張や収縮し、故障や性能劣化が起こる可能性があります。

温度サイクル試験では、製品を高温と低温の環境に交互にさらし、その温度変化による影響を評価します。この試験は、急激な温度変化ではなく、比較的緩やかな温度変化を繰り返し適用することで、製品内部の接合部や材料の結合強度がどの程度劣化するかを確認します。

また、温度範囲やサイクル数は試験対象の製品に応じて設定されるため、例えば自動車部品では-40°Cから125°Cの範囲で繰り返し温度を変化させることが一般的です。このようにして、製品が様々な環境下でも信頼性を維持できるかを評価します。

代表的な規格例

JIS C 60068-2-14 環境試験・温度変化試験
IEC 60068-2-14 環境試験・温度変化
JESD22-A104D 半導体デバイス用温度サイクル試験

湿度サイクル試験

湿度サイクル試験とは、製品が急激な湿度変化にどの程度耐えられるかを評価する試験です。

特に、電子機器や半導体製品は、湿度の変動によって腐食や絶縁性能の低下が発生しやす区なります。そのため、湿度が大きく変動する環境下で長期間使用される製品には、この試験が不可欠です。

湿度サイクル試験では、温度と湿度を交互に変動させ、製品が湿度の変化によってどのような影響を受けるかを確認します。

湿気の影響により、製品内部で結露が発生し、それが故障や性能劣化の原因となることも。また、金属部分の腐食や、プラスチックなどの素材の膨張による劣化もチェックポイントとなります。

この試験は、屋外や自動車部品など、湿度が変動しやすい環境で使用される製品に特に有用です。湿度サイクル試験の結果は、製品設計の改善や信頼性向上に役立ちます。

そのため、試験はJIS規格などに基づいて厳格に実施され、製品の市場投入前に信頼性を高めるために重要です。

代表的な規格例

JIS C 60068-2-30 環境試験・水分サイクル(温度変化と水分)
IEC 60068-2-30 湿度試験
MIL-STD-810G 環境工学のための試験方法(耐湿試験)

耐久性試験

耐久性試験とは、製品が長期間にわたって繰り返し使用される場合に、どの程度の寿命を持つか、どのような劣化が進行するかを確認する試験です。この試験は、製品が予定された使用期間中に機能し続けることを保証するために行われます。

耐久性試験では、製品に実際の使用状況を模擬した負荷をかけ、何回使用されるまで正常に動作するか、またどのような故障モードが発生するかを評価します。

例えば、機械部品では回転や衝撃、摩擦といった負荷を繰り返し加え、どの部品が最初に摩耗するかをチェック。また、電子機器では電気的な負荷を繰り返し与え、基板や回路の耐久性を評価します。

耐久性試験の結果は、製品の設計や使用材料、製造工程を改善するための重要なデータとして活用されます。

JIS規格に準拠した耐久性試験は、企業の品質保証において必須のプロセスであり、製品の信頼性向上に直結。また、耐久性試験のデータは、製品保証期間の設定やリコールリスクの予測にも役立ちます。

代表的な規格例

JIS B 1518 ローラチェーンおよびスプロケット・耐久性試験
ISO 11452-5 電磁両立性・耐久性評価
IEC 60721-3-1 環境条件分類・耐久性試験

耐候性試験

耐候性試験とは、製品が紫外線、温度変化、湿度、降雨などの自然環境にさらされた場合に、どの程度の耐久性や劣化耐性を持つかを評価する試験です。

屋外で使用される製品や自動車部品、建築材料などは、長期間にわたり過酷な自然条件に耐える必要があるため、耐候性試験は不可欠です。

この試験では、紫外線照射、温度サイクル、湿度の変動などを人工的に再現し、製品がどの程度の劣化や色褪せ、素材の劣化を起こすかを確認します。特に、プラスチックやゴム製品、塗料は紫外線や湿度に弱く、これらの素材の耐候性を評価することは製品開発の重要な一環です。

耐候性試験は、JISやISO規格に基づき、信頼性の高いデータを得るために厳密に行われます。この試験の結果は、製品が長期間にわたって耐候性を保てるかどうかを判断するための指標となり、屋外用途の製品においては特に重要です。

また、耐候性試験による評価は、製品開発時に品質を向上させるためのフィードバックとしても役立ちます。

代表的な規格例

JIS K 5600-7-7 塗料の耐候性試験
ISO 4892-2 プラスチックの耐候性試験(UV試験)
ASTM G155 耐候性試験・キセノンアークランプ

加速試験

加速試験とは、製品の寿命や信頼性を短期間で評価するために、使用環境の過酷さを通常よりも強調して行う試験です。

通常の使用条件では何年もかかる劣化や故障を、短時間で再現することを目的としています。特に半導体や電子機器、車両部品などの耐久性を評価する際に、加速試験は欠かせません。

加速試験では、温度、湿度、振動、電圧などのストレスを製品に通常よりも強くかけ、その影響を確認します。

例えば、温度加速試験では、製品を高温下に長時間さらすことで、通常の環境で数年かかる劣化を短期間で再現。これにより、製品の設計や材料の弱点を迅速に見つけ、寿命の推定や信頼性向上のための改良が行われます。

加速試験の結果は、JIS規格やISO規格に基づき、製品が期待される使用期間中に耐久性を保つかどうかを判断するために使用されます。また、加速係数を用いて、通常の使用環境における寿命を推定することが一般的です。製品の信頼性を短期間で評価するため、開発スピードの向上やコスト削減にも貢献しています。

代表的な規格例

ISO 11341 塗料および塗膜の耐候性試験(人工気象下での試験)
ISO 105-B02 繊維製品の耐光性・耐候性試験
JEDEC JESD22-A108 半導体デバイスの高温保存寿命試験

まとめ

信頼性試験は、製品がさまざまな環境やストレスに対して長期間にわたり正常に機能するかを確認するために、現代の製造業において不可欠なプロセスです。

製品の品質や安全性を保証するために、振動試験、温度サイクル試験、湿度サイクル試験、耐久性試験、耐候性試験、加速試験など、多岐にわたる評価手法が活用されています。

信頼性試験は、単なる品質保証の手段にとどまらず、製品の市場価値を高め、企業の競争力を維持し最適化するための重要な工程です。

製造業がますます高度化する中、信頼性試験の役割は今後も増大し続け、製品の安全性と品質の向上に大きく貢献し続けるでしょう。

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