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温度試験とは?目的や温度サイクル試験・湿度試験などについても解説

2024.09.10

私たちの生活や産業で使用される製品・部品は、衝撃や気候、温度といったさまざまなストレスへの耐久性が求められます。

しかし、環境が製品や部品に与える影響は目に見えづらく、耐久性の評価は難しいです。

本記事では、さまざまな環境による影響を評価する環境試験の中でも、製品が温度によってどのようなダメージを受けるのかを検証する「温度試験」について詳しく解説します。

温度試験を検討中の方や、温度試験について知りたい方はぜひ参考にしてください。

温度試験とは?目的についても紹介

温度試験とは

温度試験とは、製品や部品をとりまくさまざまな環境を再現して耐久性を評価する「環境試験」の中でも、とくに温度や湿度による影響を評価する試験です。

温度の急激な変化や繰り返す温度変化、極端な高温環境や低温環境、湿度の変化など、製品が実際の使用環境で遭遇する可能性のある環境をシミュレーションし、製品の耐久性や品質を検証するために行われます。

温度試験は、電子機器や自動車部品、建設資材など、あらゆる業界で広く実施されており、製品開発における長寿命化や安全性の向上を目的としています。

主に以下のような視点で評価を行います。

耐久性の確認 製品が温度の変化にどれだけ耐えるかという性能を評価します。特に、極端な温度環境下で使用される製品や部品の性能評価が重要です。熱衝撃試験や温度サイクル試験などの試験を通じて確認します。
安全性の確認 製品や部品が使用される温度範囲内で安全に動作し続けるかを評価します。異常な高温による過熱や破損、変形がないか、低温環境下での動作不良がないかなどを確認します。
規格適合性の確認 多くの製品はJISやISOなどの規格に基づいて設計されており、これらの規格に準拠する温度試験を行うことで、製品が規格を満たす性能を有していることを確認します。

温度試験の代表例!概要や規格など紹介

温度試験の例

温度試験には、温度の加え方の違いによっていくつかの種類があり、それぞれの試験は製品や部品が特定の温度環境や温度変化に対してどのくらい耐久性を持つかの評価に用いられます。

製品ニーズによってこれらの試験が使い分けられ、製品の設計段階における材料検討や、実際の使用環境における、製品信頼性や耐久性を検証するのに不可欠な工程です。

以下、代表的な温度試験と関連する規格について解説します。

温度サイクル試験
温湿度サイクル試験
湿度試験
高温低温保存試験
熱衝撃試験
その他

温度サイクル試験

温度サイクル試験とは、製品の温度を一定の範囲で繰り返し変化させることで、温度変化による製品への影響を評価する試験です。

多くの製品や部品の使用環境では、高温と低温の温度変化が繰り返されるため、熱膨張や収縮によって生じるストレスが製品や部品に劣化を引き起こします。

特に異なる材料を組み合わせた製品や、精密な接合部を持つ製品においては、材料間の膨張率の違いに起因して亀裂や破損が生じることがあります。温度サイクル試験は、これらのリスクを評価し、製品の耐久性を確認するための重要な試験です。

温度サイクル試験は、電子機器や自動車、航空宇宙産業など、耐久性を求められる幅広い分野で活用されています。

試験方法 高温と低温の温度変化を一定のサイクル数繰り返し加えます。温度範囲やサイクル数、変化速度は、製品の使用環境に応じて設定されます。
評価項目 製品の歪み、亀裂、変形、接合部の剥離や破損などが評価されます。
規格例 JIS C 60068-2-14 環境試験方法−電気・電子− 第2-14部:温度変化試験方法

温湿度サイクル試験

温湿度サイクル試験とは、温度の変化に加えて湿度も変動する環境下における製品の耐久性を評価する試験です。

温度と湿度が同時に変化することで、製品内部で結露が発生し、その水滴による腐食や短絡のリスクが高まるため、温湿度サイクル試験は防水性や腐食耐性の評価に適しています。

昼夜の温度差が大きい環境や、長期間屋外で使用される製品(例えば電子機器、車載機器、通信機器など)を想定し、温度と湿度の繰り返し変動に耐えられるかを確認します。

試験方法 温度と湿度を設定し、サイクルを繰り返して製品に影響を与えます。通常、一定のサイクル数で実施され、製品の劣化速度を短期間で加速させます。
評価項目 製品の変形、結露による短絡や腐食、電子部品の絶縁劣化。
規格例 JIS C 60068-2-30 環境試験方法−電気・電子− 第2-30部:温湿度サイクル

湿度試験

湿度試験とは、製品を一定の高湿度環境に長時間さらし、湿度が製品に与える影響を評価する試験です。

高湿度環境では、特に金属部品の腐食や電子機器の絶縁不良などが発生しやすくなるため、電子回路を持つ電気・電子機器で特に重要とされています。

湿度試験では、湿度の変化がもたらす影響を確認し、製品の長期的な耐久性を評価。例えば、湿度の上昇によって発生する結露が内部の部品に影響を及ぼし、機能不全や腐食が進行するリスクがあります。

試験方法 一定の湿度環境に製品をさらす。相対湿度90〜95%程度の高湿度環境に製品を一定期間さらす(温度条件も含めて設定されることがほとんど)。
評価項目 製品の表面や内部での結露の発生、金属部品の腐食、電子部品の絶縁性能の劣化や不良などが評価されます。
規格例 JIS C 60068-2-30 環境試験方法−電気・電子− 第2-30部:温湿度サイクル

高温低温保存試験

高温低温保存試験とは、製品が極端な高温や低温環境に長時間置かれた場合に、機械的性質や性能がどのように変化するかを評価する試験です。

主に金属材料、樹脂、ゴム、電子機器などに適用され、高温環境では材料の劣化や変形が起こりやすく、低温環境では脆性が増加し、耐久性が落ちるという特性があります。

特に金属部品においては、製品に取り付けられる前の保存や輸送中の温度ストレスに耐えられるかを評価する目的で行われることがほとんどです。また、樹脂や電子機器の場合も、熱膨張や縮小による変形や、接合部の破損、絶縁材料の劣化などが評価されます。

試験方法 一定の高温や低温の環境に製品を長時間さらし、材料や部品に与える影響を確認します。
評価項目 材料の変形や劣化、破損の有無、電子機器の場合は機能不良や絶縁性能の低下。
規格例 JISC60068-2-1 環境試験方法−電気・電子−第2-1部: 低温(耐寒性)試験方法JISC60068-2-2 環境試験方法−電気・電子−第2-2部: 高温(耐熱性)試験方法

熱衝撃試験

熱衝撃試験とは、製品に急激な高温から低温、あるいは低温から高温への温度変化を加え、その影響を評価する試験です。

急速な温度変化によって、材料が急激に膨張や収縮することで内部に大きなストレスが生じ、亀裂や破損が発生することがあります。

特に内燃機関、自動車部品、電子機器、航空宇宙部品、太陽光発電パネルなど、急激な温度変化にさらされる製品の耐久性や安全性の確認が目的です。

試験方法 急激な温度変化を短時間で繰り返し与える。温度変化の速度やサイクル数は製品の使用環境に応じて設定されます。
評価項目 熱膨張や収縮による破損や歪み、亀裂の有無、材料の劣化、接合部の剥離など。
規格例 JISC60068-2-14 環境試験方法−電気・電子− 第2-14部:温度変化試験方法

その他の温度試験(結露試験や恒温試験、温度上昇試験など)

温度試験には、上記の代表的な試験以外にも、さらに細かな条件下で製品の耐久性評価を行う試験があります。その他の温度試験を紹介します。

結露試験 製品が結露環境下で使用された場合に、結露による影響を評価する試験です。特に密閉された電子機器やプリント基盤などで、内部に発生する結露が原因で発生する短絡や腐食のリスクを評価します。結露状態と乾燥状態を繰り返し、温湿度の変化やサイクル数などの試験条件に基づいて実施されます。
恒温試験 製品を一定の温度環境に長期間さらし、その温度下での性能や時間的変化を評価する試験です。特に、製品が特定の温度環境で長期間安定して動作するかを確認します。食品の容器包装の健全性評価に用いられるほか、電子機器、化学材料、工業製品など、広範な分野で使用されます。
温度上昇試験 電気製品が動作中に内部で発生する熱によって、どの程度温度が上昇するかを評価する試験です。特に発熱量が大きい照明(照明器具など)で、過熱による故障や火災リスクを未然に防ぐために実施されます。また、材料の劣化や電子部品の性能低下の評価にも使用され、製品の信頼性や長寿命化を確認する試験としても重要です。
柔軟温度試験 軟質塩化ビニル樹脂や高分子材料の低温環境下での柔軟性を評価する試験です。試験片を冷却後、5℃間隔で昇温し、各温度で一定のトルクをかけてねじれ角度を測定することで柔軟性を保てる温度範囲を確認します。特に、軟質プラスチックやゴム製品などが対象で、低温環境での機能維持の確認に使用されます。

まとめ

本記事では、製品や部品がさまざまな温度環境でどのような特性を持ち、さまざま温度条件における耐久性を評価する、温度試験について解説しました。

製品が直面する可能性のある過酷な環境を再現し、温度や湿度の変化による劣化や故障のリスクを評価することで、製品設計を改善し、私たちが使用する製品の安全を確保することができます。

温度試験は、安全な暮らしを支える高い安全品質の維持に貢献しています。

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