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振動試験と校正の重要度について。

2026.07.02

振動試験

振動試験は、製品が輸送中や実際の使用環境で受ける振動に対する耐性を確認するための非常に重要なプロセスです。この試験を省略した場合、市場に出てから取り返しのつかない問題が発生する可能性が高くなります。

振動試験を行わないことで生じる主なリスクは、以下の4つのカテゴリーに分けられます。

品質・性能面のリスク(製品の故障)

製品が実際の使用環境や輸送中に受ける振動に耐えられず、以下のような物理的・電気的なトラブルを引き起こします。

  • 部品の破損と金属疲労: 製品固有の「共振周波数」と外部の振動が一致すると、想定以上の負荷がかかり、部品のクラック(ひび割れ)や金属疲労による破壊が起きます。
  • 結合部の緩みと脱落: ネジ、ボルト、コネクタなどが振動によって緩み、内部の部品が脱落したり、外装が外れたりします。
  • 電気的な接触不良・断線: はんだ付け部分の剥離やプリント基板のクラック、ケーブルの断線により、製品が突然動作しなくなったり、誤作動を起こしたりします。

安全性に関わるリスク(人命や事故への影響)

特に自動車、航空宇宙、医療機器、インフラ設備などの分野では、振動による故障が重大な事故に直結します。

  • 人命に関わる事故: ブレーキシステムの不具合や、航空機の計器の誤作動など、致命的な事故を引き起こす可能性があります。
  • 発火・火災: リチウムイオンバッテリーなどが振動で内部ショートを起こし、発熱や火災に発展する危険性があります。

ビジネス・経済的なリスク

市場に出回った後に振動による不具合が発覚した場合、企業に甚大なダメージを与えます。

  • リコールや保証コストの増大: 製品回収(リコール)、無償修理、代替品の発送など、開発段階で試験を行うコストの何十倍、何百倍もの費用が発生します。
  • ブランドイメージと信用の失墜: 「壊れやすい」「安全性が低い」というレッテルを貼られ、顧客の信頼を失い、将来的な売上低下に直結します。
  • 大幅な手戻り(開発の遅延): 市場で問題が起きてから原因を特定し、再設計・再生産を行うには膨大な時間と労力がかかります。

規格・法規制違反のリスク

多くの業界では、製品に対する振動試験が義務付けられていたり、業界標準として設定されています。

  • 取引の停止・納入拒否: JIS、ISO、MIL規格(米軍規格)、ASTMなどの基準を満たしていることを証明できないと、企業間の取引で納入を拒否されることがあります。
  • 市場への参入不可: 法的な安全基準や認証(CEマークなど)をクリアできず、特定の国や地域で販売できなくなるリスクがあります。

振動試験は時間やコストがかかる工程ですが、それを省くことで生じる「市場でのトラブル対応コスト」や「信用の喪失」は、試験費用をはるかに上回ります。


校正の重要さについて

振動試験機やその周辺機器(加速度センサー、アンプ、コントローラーなど)の「校正(キャリブレーション)に誤りがある」ということは、「試験機が表示・記録している振動データと、実際に製品に加わっている物理的な振動がズレている」状態を意味します。

これは、試験を全く行わないことと同等、あるいは「間違った結果を正しいと信じ込んでしまう」分、よりタチが悪いと言えます。


実際よりも「弱い」振動をかけていた場合(過小試験)

画面上は「規定の加速度(例:10G)を出している」と表示されていても、実際には5Gしか出ていなかったようなケースです。

  • 欠陥品が「合格」として市場に出てしまう: 本来なら振動で壊れるはずの設計・製造不良を見逃してしまいます。その結果、市場に出た後に輸送中や使用中に製品が故障し、市場クレーム、リコール、最悪の場合は人身事故に直結します。
  • 「試験をしたのに壊れた」という原因不明のパニック: 市場で不具合が起きた際、開発側は「振動試験はクリアしているから、振動が原因ではないはずだ」と誤った前提で原因究明を行うため、真因の特定が大幅に遅れます。

「周波数」の校正に誤りがある場合

加速度(揺れの大きさ)だけでなく、周波数(揺れの速さ)の計測や制御がズレていた場合です。

  • 共振点」の特定ミス: 振動試験の重要な目的の一つは、製品が激しく揺れる「共振周波数」を見つけ出すことです。周波数軸がズレていると、間違った周波数を共振点として記録してしまいます。
  • 対策の見当違い: 間違った共振点データに基づいて製品の防振設計(ゴムの硬さを変えるなど)を行うため、対策を施したはずなのに実際の環境では全く効果がない、という事態に陥ります。

4. 品質保証体系(QMS)への致命的なダメージ

ISO9001やIATF16949(自動車産業)、あるいは顧客との契約において、計測器の校正は厳密に規定されています。

  • 過去の試験データの「全否定」: 後になって校正の誤り(または校正切れ)が発覚した場合、その誤った状態で試験した過去の製品データ」はすべて無効になります。影響範囲を特定し、顧客に報告・謝罪し、最悪の場合は納入済みの製品を回収して再試験をしなければなりません。
  • 顧客からの信用失墜と取引停止: 計測器の管理ができていない企業とみなされ、品質管理体制への根本的な疑念を持たれます。厳しい業界では、今後の取引停止やペナルティの対象となります。

まとめと対策

校正の誤りは、「見逃し(市場でのトラブル)」「過剰品質(コスト増)」のどちらに転んでも企業に大ダメージを与えます。

これを防ぐためには、年に1回などの「定期的な外部機関・メーカーによる校正」だけでなく、試験前や日常的に、基準となるリファレンスセンサー(校正済みの予備センサー)を使って「日常点検(セルフチェック)」を行う仕組みを導入することが非常に重要です。


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