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複合環境試験とは?目的や試験の種類、主な用途・対象を解説

2025.09.30

はじめに

私たちが日常生活において使用している物は、外部からさまざまな影響を受けております。例えば身近にある物として自動車を見てみましょう。自動車を走らせると、中に搭載された電子部品は、「高温・振動・湿気」が同時に加わり、外側部分は「温度変化・湿度・紫外線」の影響を同時に受けます。この影響による製品の耐久性や信頼性を正確に把握していないと、重大な事故につながる恐れがあります。こうした実際に起こりえる複数の使用環境を人工的に再現し、製品が長期間にわたって安全かつ安定して動作できるかを確かめるのが「複合環境試験」です。振動のみ、温度変化のみといった、単一条件下では見つからない潜在的な不具合を抽出できる点がこの試験の特徴となります。

複合環境試験の目的と内容

目的 内容
耐久性の確認 製品が複数の環境ストレス(温度、湿度、振動、塩害など)にさらされても、所定の機能や性能を長期間維持できる能力を指します。
単純な「壊れにくさ」ではなく、実際の使用条件下で安全に動作し続けられるかが重要なポイントです。

例)携帯電話を-20℃~60℃の環境で繰り返し衝撃を与えた時の壊れにくさ

信頼性の確認 製品が「所定の条件下で、所定の期間、所定の機能を果たし続ける確率や保証性」を指します。
耐久性が「長く壊れにくい力」を示すのに対し、信頼性は「期待どおりに正常動作を続ける確かさ」に重点があります。

例)車載カメラモジュールを85℃、85%RHの環境で振動させた時に正常動作するか。

潜在的不具合の発見 製品に複数のストレス要因を、同時または連続して与えることで顕在化する不具合を指します。複合環境試験では、実使用例に近い状態で試験を行うことで、単一条件では見つからなかった不具合を見つけることができます。

例)車載コネクタが20℃の環境で振動中異常はなかったが、85℃では接触不良が発生した。

代表的な組み合わせ

組み合わせ 試験内容 主な用途・対象
温度 × 振動
→弊社で対応可能!
高温~低温環境下で振動を与える 車載電子機器、航空宇宙部品
温度 × 湿度
→弊社で対応可能!
高温高湿や結露環境での評価 電子部品、樹脂材料
温度サイクル × 湿度
→弊社で対応可能!
温度変化と湿度を組み合わせ、結露や膨張収縮を再現 プリント基板、コネクタ
温度 × 湿度 × 電気ストレス
→弊社で対応可能!
通電状態で温湿度負荷を与え、絶縁破壊や劣化を確認 半導体、電気絶縁部品
温度 × 振動 × 電気ストレス
→弊社で対応可能!
通電しながら温度と振動を同時負荷 ECU(車載制御ユニット)、電源機器
塩害 × 湿度 塩水噴霧+湿度環境 海岸地域や船舶用部品
塩害 × 振動 塩分付着状態で振動を与える 車載足回り部品、輸送機器
低圧(高度)× 温度変化 × 振動 航空機や宇宙環境を模擬 航空宇宙部品、衛星搭載機器
温度 × 湿度 × 光(紫外線) 太陽光・高温多湿環境を再現 屋外設置機器、建材、太陽光パネル
温度 × 湿度 × ガス腐食 硫化ガスやNOx環境での耐久試験 通信機器、制御盤、接点部品

弊社における複合環境試験

弊社では、温度、湿度、振動を組み合わせた複合環境試験を行うことが可能です。お客様の要望に合わせて条件を設定し、柔軟に対応いたします。

画像左がFX-26K、右がFX-35K、弊社が所有している振動試験機です。それぞれ温度・湿度・振動に対応しております。複合環境試験はもちろん、単一条件化でも試験を行うことができるため、振動だけ、温度だけなど最低限の条件でも承っております。より詳細な試験機の様子は、過去に紹介した下記コラムに記載しております。

“外注できる安心感”を。エボルテックの振動試験室を覗いてみませんか? | コラム | エボルテック株式会社

まとめ

私たちが普段使っている製品は、想像しているよりも過酷な環境にさらされていることが多いです。
車の部品はエンジンの熱と振動と湿気に耐えないと重大な事故につながる恐れがあったり、スマートフォンは暑い日も寒い日も使われ、地面に落としてしまうことが多々あります。こうした「現実の厳しい状況」をわざと再現して、製品がちゃんと動くかどうか確かめるのが、今回紹介した複合環境試験です。自動車や飛行機、医療機器や通信機器など「壊れたら困るもの」だからこそ、長持ちするか、ちゃんと動くかを確かめなければなりません。

お客様の大切な製品、ぜひ弊社で確かめてみてはいかがでしょうか。

振動試験に関するお悩み
エボルテックまでお気軽に
ご相談・お問い合わせください。

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