コラム
Column
振動耐久試験をlogスイープ(対数掃引)で行う理由
はじめに
振動試験を実施していると振動耐久試験を行う際に「logスイープ(対数掃引)」で実施するという条件を目にすることが多くあります。「logスイープ」「対数掃引」とは何か、何のために「logスイープ」で行うのかを調べてみました。
logスイープ(対数掃引)とは
低い周波数では時間を長くかけ、周波数が上がるにつれてかける時間を短くしていくもの。
反対の言葉として「リニアスイープ(直線掃引)」がありますが、こちらはどの周波数帯でも均一の時間で試験を行うというものです。
なぜ「直線掃引」ではなく「対数掃引」を採用するのか
「対数掃引」を採用する理由ですがまず「疲労限度」というものについてお伝えします。
「疲労限度」とは
材料への応力 振幅がある値以下になると、いくら繰り返しても疲労破壊※に至らない、もしくはそのように見なされる応力値のこと
その繰り返し数は通常106 〜 107回(10万回~100万回)となります。
調べていると上記回数は107回と書かれているところもあれば108回と書かれているところもあります。
※疲労破壊 小さな割れが少しずつ進行して最終的に破壊が起こる現象。
ただ、ここでお伝えしたいのは「疲労限度」の正確な回数ではなく、ある条件下であれば何度振動を繰り返しても破壊に至らないということです。
「対数掃引」ではなく「直線掃引」で試験を行った場合、周波数の低い成分は回数が少なく、周波数の高い成分は回数が多くなってしまいます。
ピンとこないかもしれないので例を載せてみます。
まず周波数というのは1秒間に何度波があるかを表しています。振動試験であれば振動の回数ですね。
10Hzであれば1秒間に10回の振動があるということなので仮に10Hzで1分間試験をすると振動回数は10回×60秒で600回ということになります。
それが1000Hzになると同じ1分間の試験でも振動回数は60,000回になります。
上記を踏まえて先程の「疲労限度」を考えてみると低い周波数が疲労限度回数に到達するように試験時間を設定した場合、高い周波数ではかなり余分に試験をしてしまうことになります。
逆に高い周波数の部分が疲労限度回数に到達するように試験時間を設定すると低い周波数帯での試験時間が全く足りなくなります。
まとめ
上記問題を解決するためにlogスイープを採用し、どの周波数帯も同じ振動回数の試験が出来るようにしているのです。