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IP試験とは?IPコードの一覧表や事例など紹介

2024.09.30

IP試験そのものを目の当たりにする機会はあまりありませんが、実はIPコードはよく目にしています。

本記事を読めば「IP試験ってなに?」「IPコードって聞いたことあるけど詳しくはわからない」「JIS規格の防塵や防水を詳しく知りたい」という疑問を解消できます。

IP試験とはなにか、そしてIPコードの意味と、IPコードの一覧を交えて防塵性・防水性がどのように定められているかを詳しく解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

IP試験とは?

IP試験とは

IP試験とは、製品の防塵・防水性能を評価するための試験です。

「IP」は「Ingress Protection」の略であり、JIS C 0920「外郭による保護等級(IPコード)」という規格に対応しています。JIS C 0920は、国際規格であるIEC 60529に基づいており、製品が外部からの異物や水の侵入に対してどれだけ保護されているかを示す規格です。

この試験は、電気機器や電子機器が過酷な環境下で正常に動作するかどうかを確認するために使用されます。特に、産業機器やアウトドア製品など、厳しい使用環境下での耐久性を確認するために不可欠です。

IPコードは「IP+二桁の数字」で表されます。最初の数字が防塵性能(0~6で評価)次の数字が防水性能(0~9で評価)。例えば、IP67では、「6」が完全防塵、「7」が一時的な水没に耐えられることを意味します。

IP試験は、製品の設計段階で考慮されるべき重要な要素であり、この試験により、製品が想定される使用環境下で確実に機能することが保証されます。また、消費者や企業に対する製品の信頼性を高めるために、広く利用されています。

IPコードとは?保護等級の概要一覧も紹介

IPコードとは

IPコードとは製品の防塵・防水性能を数値で示すための符号で、国際規格IEC 60529に基づいています。

このコードは「IP+二桁の数字」の形式で表されます。一桁目が第一特性数字(防塵性能)、二桁目が第二特性数字(防水性能)を表しており、それぞれの数値から防塵性能と防水性能がひと目で判断可能です。数字が大きいほど高い保護性能を意味します。

例えば、「IP67」では、「6」が完全な防塵性能、「7」が一時的な水没に対する保護性能を示します。もし防塵や防水の試験が行われていない場合には、「X」が使われることもあります(例: IPX5は防塵試験が行われていないが、防水性能が5であることを示す)。

第一特性数字(防塵)のIPコード表

第一特性数字は、製品が固体異物からどれだけ保護されているかを示します

この数字は0から6まであり、数字が大きくなるほど、より高い防塵性能を持つことを意味します。以下に、各数字が示す保護等級を表にまとめます。

保護等級 試験内容
非適用 特に保護のための試験は行わない。
1 50mm以上の固体から保護 直径50mm以上の物体(例えば手など)が製品に侵入しないことを確認する試験。
2 12.5mm以上の固体から保護 直径12.5mm以上の物体(例えば指)が製品に侵入しないことを確認する試験。
3 2.5mm以上の固体から保護 直径2.5mm以上の物体(例えば工具やワイヤー)が侵入しないことを確認する試験。
4 1.0mm以上の固体から保護 直径1.0mm以上の物体(例えば細いワイヤー)が侵入しないことを確認する試験。
5 防塵 微細な塵が製品内部に侵入するが、機能に影響を与えないことを確認する試験。テスト内容は試験機チャンバーに微細な粉塵を循環させ、製品内部に有害な量の粉塵が入らないことを確認。製品内部の真空状態が必要。試験時間は最大8時間。
6 完全防塵 いかなるホコリも内部に侵入しないことを確認する試験。テスト内容は試験機チャンバーに微細な粉塵を循環させ、製品内部に一切粉塵が入らないことを確認。製品内部の真空状態が必要。試験時間は最大8時間。

※レベル0を表す際は、アルファベットの「x」が用いられます。

第二特性数字(防水)のIPコード表

第二特性数字は、製品が水の侵入に対してどれだけ耐えられるかを示します

この数字は0から9まであり、数字が大きくなるほど、より高い防水性能を持つことを意味します。以下に、各数字が示す防水性能の等級を表にまとめます。

保護等級 試験内容
非適用 特に保護のための試験は行わない。
1 垂直に落ちる水滴に対して保護 垂直に落ちる水滴が有害な影響を与えないことを確認するために、水滴を製品に落とす試験を実施。
2 垂直から15度以内の傾斜で落ちる水滴に対して保護 15°まで傾斜させた製品に垂直に落ちる水滴をかけて、製品に影響がないかを確認する試験。
3 垂直から60度以内の水の飛沫に対して保護 60°以内の角度から水を噴霧して、製品に影響がないかを確認する試験。
4 全方向の水の飛沫に対して保護 あらゆる方向から製品に対して水を飛沫させ、影響がないことを確認する試験。
5 噴流に対して保護 あらゆる方向からノズルを用いて水を噴射し、製品に影響がないことを確認する試験(ノズル口径6.3mm、12.5リットル/分)。
6 強い噴流に対して保護 強力な噴流水をあらゆる方向からかけて、製品に影響がないことを確認する試験(ノズル口径12.5mm、100リットル/分)。
7 一時的な水没に対して保護 製品を30分間、深さ1メートルまで水に沈め、機能に影響がないことを確認する試験。
8 継続的な水没に対して保護 製品ごとに規定された条件で長時間水中に沈め、継続的な水没に耐えられるか確認する試験(通常、水深1.5メートル以上)。
9 高圧・高温の水に対して保護 高圧(80~100bar)・高温(80°C)の水流を製品にかけ、影響がないことを確認する試験。

※レベル0を表す際は、アルファベットの「x」が用いられます。

上表では9を最高としていますが、一般的な製品では8を最高等級とする場合がほとんど。9の高圧・高温という条件は、日常的な使用環境ではほとんど必要とされない特殊な状況を想定した試験です。

IP試験事例を紹介

IP試験の事例

スマートウォッチは、日常生活やフィットネス活動に欠かせないアイテムとして広く普及しています。

ここでは、スマートウォッチに多く適用されているIP68コードに基づいた防塵・防水性能について、実際の試験事例をもとに解説します。

防塵性能(IP68の「6」部分)

IPコードの「6」は、製品が最高レベルの防塵性能を持つことを示しています。これは、スマートウォッチが完全に粉塵の侵入を防ぐことを意味し、アウトドアや埃の多い環境でも内部の精密機器が守られていることを保証します。

防塵試験は、IEC 60529規格に基づいて実施。IP68等級における最高レベルである「6」は「一切の粉塵が侵入しない」ことを試験によって確認します。

具体的には、試験対象のスマートウォッチを密閉された試験装置に入れ、内部を負圧にします。この負圧によって、粉塵が機器内部に吸い込まれる状況を作り出し、約8時間(通常は2〜8時間)にわたって粉塵が舞う状態にさらします。

具体的には、試験対象のスマートウォッチを密閉された試験装置に入れ、内部を負圧にします。この負圧によって粉塵が機器内部に吸い込まれる状況を作り出し、約8時間(通常は2〜8時間)にわたって粉塵が舞う状態にさらします。

使用される粉塵は一般的にタルク粉末(直径50μm以下)で、粒子の侵入が徹底的に防止されることを確認します。

使用される粉塵は一般的にタルク粉末(直径50μm以下)で、粒子の侵入を徹底的に防止。試験後、スマートウォッチの内部に粉塵が一切入っていないことが確認されれば、IP6Xの防塵性能が認証されます。

防水性能(IP68の「8」部分)

IPコードの「8」は、0から9段階のうち非常に高い防水性能を示しています。高水圧や深水への水没など、極端な負荷環境にさらされる可能性の低い日常生活において、「8」は最高レベルと言っても過言ではありません。

防水試験もIEC 60529規格に準拠して行われます。IP68等級における「8」は、スマートウォッチが水深1メートル以上での水没に耐えることを示していますが、具体的な水深や試験時間は製品ごとに異なります。一般的な試験では、水深1.5メートルで30分間の水没が実施されます。

試験では、スマートウォッチを規定の水深に沈め、その後に取り出して内部に水が侵入していないかを確認。さらに、機器が正常に動作するかをチェックし、防水性能が保持されていることを確認します。

この試験では、水の侵入によって電子機器が機能不全に陥らないか、物理的な損傷がないかが徹底的に検証されます。

まとめ

スマートウォッチやスマートフォンなど電子製品で溢れる現在社会において、IPコードは私たちの生活を支える重要な基準となっています。

IP試験はJIS C 0920及びIEC 60529規格に基づいた厳格な環境で行われ、スマートウォッチやスマートフォンなど、私たちの身の回りの電子製品を支えています。

IP試験が適正に行われているからこそ、今日の多様で便利な私たちの生活が成り立っていると言えるでしょう。

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